富士山

 富士山が見える場所に行って富士山が見えると何か少し得をしたような気持ちになるものである。
東名高速道路で東京方面に向かうとき、静岡の浜名湖サービスエリアを過ぎてすぐのところにある浜名湖橋を渡っている間、進行方向左手に富士山を見る事ができるというのはかなり知られており有名なスポットである。観光バスでここを通るときは大抵ガイドさんがそのことを説明してくれる。


 東に向かうときにはここで初めて富士山にお目にかかり、逆に西に向か場合は見納めのポイントとなる。ただ距離があるため富士山が見えたり見えなかったりするものである。そんな時富士山が見えると少し気分がよくなるものである。
 いつもこの東名高速浜名湖橋を渡るとき、富士山の方向を見て走るけれども、なかなか見えることが少ないが、先日そこを通った時ばっちりと富士山が見えたのである。残念ながら高速道路を運転中で、写真を撮るわけにはいかなかったのでカシミールを使ってその時の風景を再現してみた。ほぼ見たときと同じような風景であった。


 実は前から気になっていたが、鈴鹿山脈御在所岳から富士山が見えるということにはなっているけれど、実際どのように見えるのかということについてははっきりわかっていなかった。富士山というのはどこから見ても、秀麗な三角錐で、山並みの中にあっても簡単に指摘できるものである。御在所岳からの富士山もそのようなイメージを頭の中に浮かべていたのであった。



 ところが実際にカシミールで再現してみるとだいぶイメージが違うのである。漠然と富士山の方向を眺めていただけでは多分富士山が見えていたとしても、それを特定することはできなかったと思えるのである。
 恵那山や御嶽山のようにはゆかないのであった。富士山があると指摘してもらわなければ、見過ごすくらいの姿でしか見れないということだ。大きく拡大して初めてそれが富士山であるということがわかるくらいで、漫然と見ただけではわからないということが判明した。
 という事は、もしかしたら御在所岳から富士山を見ることができた機会があったかもしれない。しかしながら頭の中で描いていた富士山のイメージでは、実際には見えていてもそれは見えてないのと同じである。
 これからご御在所岳に登って富士山を確認しようとするときには双眼鏡が必要であるという事を認識したのであった。