水を開けられた囲碁

 先日NHKで放送された日本・中国・韓国の棋士で競うテレビ囲碁アジア選手権を見ていた。

 この時は日本の棋士が優勝してめでたしであったけれど、日本の棋士が優勝するのは8年ぶりという。
優勝した井山棋士が「優勝できるとは思わなかった。中国、韓国勢に水をあけられているので、これからも挑戦者の立場で戦いたい」と話した。
この時、「水を開けられている」という意味を正確にはわからなかったけれど、その後ネットで囲碁の世界ランキングというのを見て愕然としてしまったのである。

 世界ベスト100に中国53人、韓国43人、そして日本はなんと4人である。しかもベスト50には日本人は井山棋士のみなのである。

 これではとても中国、韓国とまともに対戦できるような状況ではない。
一体どうしてこのようなことになってしまったのか、ネットでみてみると実に多くの意見が載っている。
全体的に言えるのは若い囲碁人口の減少が一番大きな原因のようだ。


 確かに昔は、職場ではどでも碁盤がおいてあり、昼休みになどに碁を打っていたものだ。その周りには結構野次馬がいた。しかし近年は職場で碁を打つ人はめっきり少なくなっていた。まして若い人が碁を打っている姿は殆ど見かけたことがなかった。

 囲碁人口の裾野を広げない限りこれからも中国・韓国にとても太刀打ちできそうもない。
ベスト100に入っている棋士の年齢はみな若い。ほとんどが10代後半から20代中頃である。30代ではもう世界のトップ級ではついていけないようだ。

 それと国内の棋士だけで対戦していると、棋力が停滞してしまうのではないかと思う。先日の電脳将棋でプロ棋士がコンピューターに敗れた時のコメントとして「人間同士の対戦では打ってこないような手をコンピューターが打ってきて、対応ができなかった」と言っていた。
今ではこのコンピューターが打った手を研究しているというから興味深い。

 囲碁は世界共通ルールの戦いだから、各国で研究が行われている。日本国内だけで対応していては、世界の流れから置いてきぼりを食ってしまいそうだ。