ビューファインダー

 先日旅行中にコンパクトデジタルカメラを持っている人が、「あなたの写真を撮りましょう」かと言ってくれたので私のデジタル一眼レフカメラをその人に渡して撮ってもらおうとしたのであった。ところがその人なぜか一眼レフカメラを腕を伸ばしてボディーの液晶画面を見ている。そこに何も映っていないのを見て不審な顔して私に聞いた。「このカメラで画像が表示されないけれどもどういう風になってるんでしょうか」というではないか。
デジタル一眼レフカメラの場合はファインダーで映像を見て写真を撮ることになってますという風に説明したところ、ファインダーの意味が理解できなかったみたいで、私が「ここからこうやって覗いて合わせるんです」と言ってはじめてファインダーを理解したということがあった。

 最近のデジタルコンパクトカメラあるいはビデオカメラもそうであるけれどもファインダーで覗いて映像を撮るのではなく液晶モニターを見てそれで写真を撮っているのが普通になってしまった。ほんの少し前まではファインダーを覗いてそこで構図決めピントを合わせて写真を撮ったものである。
私もいつしかコンパクトデジタルカメラもビデオカメラでも液晶画面を見ながら写真を撮るという方式に慣らされてしまっている。しかし液晶画面を見て写真を撮るという方式はいろいろ問題があるという風に感じている。
 
 1点はまずカメラの構え方が極めて不安定になるからである。通常液晶画面に目に近づけて写真をとることはしないので、腕を伸ばしカメラの液晶のモニターの画像を見て写真を撮るわけであるけれども、腕を伸ばすという事は手振れを起こす大きな原因の1つになる。
ましてや片手で腕を伸ばして写真を撮れば、構図もピントもかなり適当な写真を撮っていると同じことになる。

 2つ目は晴天の屋外で写真を撮るとき、液晶モニターがはっきり見えないのである。大体の構図はそのモニターで分かるけれども実際自分が狙った被写体にピントが合っているのかどうかというのはその場ではほとんどわからない。自宅に帰ってパソコンに取り込んで、ディスプレイで見たときに初めてピントが合っていたのかあるいは合っていないのかがわかる。

 今持っているビデオカメラも液晶モニターを横に開いて、そのモニターを見ながら写真を撮るという方式になっている。この液晶モニターを横に開いて写真を撮るのは、姿勢が安定しないために撮りぬくい。

 現在ビデオカメラは手ぶれを抑えるためいろいろな補正方式を各メーカーが考案して、効果も旧世代のビデオカメラに比べれば相当向上している。SONYの空間光学補正などという方式にはびっくりしてしまった。

 昔のカメラの構え方、つまり両手でしっかりとカメラを持ち、顔に近づけてカメラを固定してとればかなりブレが防げるしピントの確認もしやすいと思う。
液晶ファインダー付きのビデオカメラあるいは普通のコンパクトデジタルカメラでもファインダー付きのカメラにすればもっと写真が撮りやすくなるはずだが、現実はそうでもない。

 ファインダー付きカメラにすると価格が上昇するというのがどうも理由らしいけれども、写真を撮る時の最も基本的なスタイルであるビューファインダー付きカメラをもっと普及させる方が大切ではないかと考えてしまう。

 最近のデジタルビデオカメラは普及価格帯ではファインダー付きのものは少なくなっている。その中で比較的価格の安いデジタルビデオカメラを今買い替えを検討している。